Silent VoiceのCFO宮田翔実です。
私は生まれつき音が聞こえない状態で生まれました。
伊丹空港のある兵庫県伊丹市の出身ですが、飛行機のエンジン音は聞いたことがありません。
このプロジェクトには企画メンバーとして関わり問題提起や実際のエピソードを制作サイドに伝えてきました。
昨日11月17日、表題にある『爆音コンビニ』を公開させて頂きました。

賛否両論あるプロジェクトですが、この機会に根っこにある想いを書き残しておく必要があると思い
主に本プロジェクトの背景についてご紹介させて頂きます。
仲間と立ち上げたSilent Voiceでは、創業より研修や塾運営を通して
「コミュニケーションの壁」と向き合う事業を展開してまいりました。
特に自社スタッフが「聞こえるスタッフ10名・聞こえないスタッフ10名」で働いていることから
聴者(聞こえる人)と、DEAF(聞こえない・聞こえにくい人)の間にあるコミュニケーションの壁に対して多く経験を積み重ねてきました。

そこで訪れたコロナ禍によって
自分自身の生活や仕事での実感、これまで仕事で関わっていたDEAFの方々の声は
手話のない聴者とのコミュニケーション、主にマスクで口が隠されてしまうことによる
最悪の場合、「話しかけられていることにも気づかない」という関わりづらさでした。

その中でも、これまで職場改善に入らせて頂いた企業で働くDEAFの方からはコミュニケーションの状況が変わってしまったことから
「これまでどおりの仕事ができなくなった」というお話や

聞こえる子と同じ学校に通うろう・難聴児へのオンライン授業の提供を続ける中で
学校での「これまではかろうじて先生の口元を見て話を理解していたが、そこにマスクがやってきて学校へ行けなくなっている」等の状況を
聞かせて頂き、胸が締め付けられるようなショックを受けました。
マスクを着用していてもある程度会話ができる手話の必要性を強く感じるとともに
そのような状況の現場には何らかの歩み寄りが具体的に生まれていく必要があると感じました。
その問題を深く考えるにあたって、いつも私たちの活動はそもそもこういった問題に関心のある人に向けて発信していることに気がつきました。
既にこのような問題に関心のある人は問題として知り、力を合わせて対策や取り組みをしているのです。
今回の問題は、まだそのような問題を知らない、特に無関心である人々へ向けて
まずは知ってもらうことを大切に考え、社会的課題に理解がありエンタメ性を付加することに強みのある
株式会社人間さんに相談をさせて頂きました。

※専門家による指導のもと「体験時間15分以内」「店内BGMの音量100dB未満」の基準に基づき、人体への影響を配慮しております。
最初は「無音」というアプローチを考えたのですが、実は耳栓をしただけでは聴者は小さく声が聞こえているということを知りました。また「無音」のコンテンツは自社も含め多くの取り組みがされており
もっとリアリティがあって新規性のあるアイデアを求めた結果、生まれたのが『爆音コンビニ』です。
専門家の方に相談させて頂き、人体への影響を配慮し声が伝わりづらい音環境を作って頂きました。
12月4日にイベントが少人数で実施されますが、当日はそこで声が伝わりづらい中でマスクがどのようにコミュニケーションの壁となるか
聴者の方にも体験的に知っていただくことができると考えています。
そこでは映像制作を行い当日の模様を多くの人に知ってもらえるように準備を進めています。
当初は『爆音コンビニ』を通じて問題を知っていただいた方へ透明マスクを配布して直接的な解決が図れると考えておりましたが
現在様々な研究が進み、透明マスクといったマウスシールド類の予防効果については不安視する結果も出ています。
しかしながら、このプロジェクトの本質的な目的は聴者とDEAFが同じ目線で、その場に合ったコミュニケーションを考えていくことであり
問題解決を前進させるような対話が、このコロナ禍の中に増えることを心から願っています。
11月18日現在、イベント実施や映像公開を控えておりますが
このプロジェクトを通じてこの問題を知った方はどうか全国的な問題意識の共有に力を貸して頂けると幸いです。